フリーランスの節税といえば、必ず話題に上がるのは「青色申告」。でも、なんだか難しそうだし、そもそも節税するほど稼いでいないし、ホントにお得? コスパ悪いんじゃない?etc.……という声に、ぼちぼち稼ぎのフリーランス代表が答えます。申告シーズン前にチェック!
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ぼちぼちフリーランスなら「一度は青色申告」がオススメ
こんにちは。フリーランスで本の仕事をしている中山圭子です。
いろいろなジャンルの本作りにかかわってきましたが、最近は「フリーランスのお悩みを解決する本」を共著で出版することが増えました。
さて、この記事を読みにきてくれたあなたは、きっと、
・近々フリーランス・デビュー(予定)の人
・現在、確定申告を白色申告でしているフリーランスさん
ですね。
もしかしたら、
「青色申告してるけど手間だし、白色申告に戻そうかなぁ」
なんて人もいるかもしれません。
最近では、会社に勤めながら事業として副業をはじめる人も増えてきました。
また、扶養の範囲内でコンスタントに稼いでいるフリーランスもいます。
退職後、年金をもらいながら、フリーランスとしてのんびりペースで働いている人もいるでしょう。
稼いだらしなきゃいけないのが、確定申告。
フリーランスが避けては通れない道です。
私の考えは、
迷っているなら青色申告!
数字に強いわけでも経理に明るいわけでもない、ずぼらで税務どシロート、稼ぎもぼちぼちの私が、今ならそうお伝えできます。
その結論に至った経緯を書いておこうと思います。
仕入などが複雑ではない小規模フリーランス向けの記事です。
売上1000万円を超えるフリーランスは税理士に相談することをオススメします。
青色申告をためらう2つの要因
「青色申告しようか迷う」、あるいは「青色申告をためらう」のは、主に次の2つの疑問・懸念ゆえでしょう。
1 青色申告して本当に得になるのか、という疑問
2 難しい&手間がかかって面倒なのでは、という懸念
一言でいえば、
「青色申告はお得っていうけど、コスパ的にどうなの?」
というのが、すべての非青色申告フリーランスの知りたいこと、なのでは。
逆にいえば、「白色申告でいいでしょ」という人たちは、
「青色申告って手間がかかるわりに、たいしてお得じゃなさそうだから」
と思っているということでしょう。
お得と言っても、かけた労力には見合わないんじゃない?と。
その読みは、半分正解だと思います。
というのは、私自身、白色申告から青色申告に変えて、なんとかやり過ごしてきたものの、当初は複式簿記での記帳にとても苦労したからです。
私が青色申告にした理由
私は白色申告でフリーランス・デビューしました。
「売上1000万円なんてほど遠い免税事業者だから、白色で十分でしょ♪」
と思っていたら、法律が変わって白色でも帳簿はつけることになり、
「どうせ帳簿をつけるなら青色申告にした方がお得ですよ」
といろんな本や記事で書かれているのを読み、さっそく書店に行くと青色申告書のコーナーがあって、「超簡単!」と謳ったダウンロードできるソフトつきの売れ筋らしき本もある。
「高いソフトやサブスクは躊躇しちゃうけど、2000円未満の本でソフトも使えるなら、いいかも」
と能天気に青色申告デビューしちゃったクチです。
そのときの心境をもう少し丁寧に見てみると、いくつかの要因がありました。
「この先、ドドンと本が売れて稼ぐときがくるかも……いや、来てほしい!」
という密かな野望が一つ。
もう一つは、「みながすなる青色申告というものを我もしてみんとてするなり」という好奇心みたいなものがあったから。
そこに、「まぁ、なんとかなるでしょ~」という楽天的な気質が加わると……「いざ、青色申告~!」と未知なる世界へと足を踏み入れちゃうわけですね。
私はこんな具合に能天気に青い海にダイブしちゃいましたが、迷ったり躊躇ったりしているあなたは、慎重で大きな失敗をしない堅実な人だと思います。
「青色申告の海」にダイブするも溺れかけるパターン…
あなたのお察しのとおり、数字に強いわけでも経理に明るいわけでもない、ずぼらで税務どシロートの私には、「超簡単!」と謳われた本でも、青色申告の作業(主に複式簿記)は難しくて手間がかかるものでした。
「お得な楽園、ひゃっはー♪」と飛び込んでみたものの、エメラルドグリーンの南の海❤ ……と見えた青色申告の海で、私は「複式簿記」の海藻に足をとられ、「決算整理」という得体の知れない海棲生物を踏んづけておののき、自己流の帳簿づけゆえに「税務調査」というオニヒトデの襲来におびえることになります。
離岸流で沖へ流され半分溺れながらも、「いつかは大富豪のクルーズ船がやってきて大逆転❤」という能天気な夢を見ながら、大した稼ぎじゃないゆえの“税務署の恩情”という名の漂流木につかまって、間違いだらけの申告書でも何とか沈まずに漂っていた……そんな感じです。
楽天家でありながらも、根が小心者ゆえ、そんな状態でストレスがないわけではなく、申告の時期はユーウツでした。
毎年なんとか数字を合わせてやりすごし還付金を手に入れるも、
「……これで大丈夫、よね?」とモヤモヤ。
「税務署から確認の電話がくるのでは……」とヒヤヒヤ。
今年こそは、自分なりに理解して申告しよう!と思うものの、夏休みの宿題は最後までとっておく性質が災いして、いつもぎりぎりのやっつけ作業、根本的解決に至らぬまま数年が過ぎました。
ぼちぼち稼ぎ&申告ビギナー向け、超シンプルな方法
そんなとき、ある本の存在をふと思い出しました。
まだ白色申告だったころ、地元の図書館で借りた本です。
会計や税務が専門の出版社から出ているフリーランス向けの青色申告の本で、
「青色申告はむずかしいっていうけれど、これならできるのでは?」
と思ったような記憶。
図書館を再訪し、記憶を頼りに探してみると、その水色の本(*今は絶版)が確かにありました。
改めて図書館で借りて再読。著者開発の「簡単仕訳帳」をダウンロードしたところ、現れたのは飾り気のないシンプルなExcelシート。
さっそく、本を見ながら入力をはじめた私は衝撃を受けました。
「何コレ! 超絶シンプルで使いやすい!!!」
シンプルなExcelシートゆえに入力も訂正もラク。
シートをまたぐだけで決算書がサクッと確認できる。
さらに「左側が支出」「右側が収入」とおこづかい帳なみに直感で理解できるつくり。
素人には理解がムズカシイ「事業主貸・事業主借」の入力もなければ、これまで利用していた”超簡単なソフト”でお決まりだった「立替払い方式」とやらで毎月しなきゃいけなかった数字合わせの精算作業も必要ない。現金・普通預金・カード払いも区別して考えなくてOK。つまり、
青色申告の「複式簿記の理解」や「ソフト入力の面倒」が最小限でOK!
「こんなにラクにできるなら、初めからコレを使っておけば……」
という後悔は呑み込み、未来を見据えて、改めて書店で本を購入しました。
出版社のサイトでは、著者ご本人が読者からの質問にも答えるサポートもある(現在は終了)。シンプルな仕訳帳ゆえに更新も必要ない(申告は国税庁サイト「確定申告書等作成コーナー」を利用)。
本1冊、1600円+税で、ずっと使える!
なんというコスパ!
というわけで、その年からは「簡単仕訳帳」を使って申告。
その結果、いままでよりも数段ラクに申告作業を終えられたのでした。
*現在は、『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』でバージョンアップした「簡単仕訳帳」をご利用いただけます。
「奇跡の青色申告シート」、復活の裏話
すばらしい青色申告用Excelシート「簡単仕訳帳」との出会いで、帳簿づけと申告作業そのものは、だいぶスッキリ。とはいえ、根本的な「会計や税務」の考え方や知識といったものがないので、アレコレつまづくわけです。
また、「簡単仕訳帳」(Excelシート)自体はすばらしいのですが、それを解説している本は、シロート向けにやさしく書こうという姿勢はあるものの、やはり、そこかしこでシロートには「???」な箇所がある。
これは後でわかったことなのですが、「簡単仕訳帳」は、もともと公認会計士である著者が退職して士業として独立した自分が使う目的で作ったExcelシート。
それが便利だったので、ほかの人にも使えるように汎用化したものでした。
それ自体はシロートでも使いやすいすばらしいものなのですが、解説書である本の原稿は、(ほとんど編集者の手が入らず)著者がWordで作ったものがほぼそのまま本になっていたのでした。
それゆえ、専門家から見た正しさはあっても、シロートにわかりやすいかというと、
「これって、こういうことですか?」
「〇〇というのは、××することですか?」
と、確認したいところだらけ。
それを自己流で解釈して使っているので、モヤモヤは残るわけです。
そうこうするうちに、頼みの綱だった版元のサイトで公開していたサポートは終了。本も「品切れ」という名の事実上の絶版に。
企業向けの会計や税務の本が主流の専門出版社で、フリーランス向けのこの本に注力されていない事情が推察されました(実際、著者の専門分野である「連結決算」や「キャッシュ・フロー計算書」などの企業向けの本は、古いものも生き残っている)。
Amazonのレビューは高評価で、「奇跡の書!」などと言われているのに売上が伸びなかった原因は、私のような簿記や税務、会計ビギナー向けの解説が足りないことと、
「(すばらしい本だが)昭和の本かと思うほどイラストが古い」
といったレビューから推察されました(著者がネットから落としてきた無料のイラストを使ってレイアウトした原稿は、素人が作ったことを思えばなかなかなものですが)。
使えば、そのすばらしさはわかるのに……
嗚呼、もったいない!!!
このまま「簡単仕訳帳」が図書館の片隅で埋もれていいのか。
いやよくない。
これを必要とするフリーランスは、私以外にもたくさんいるはず!!
そんな、編集者魂を刺激された私は、出版社に電話をし、
「突然すみません。ワタクシ、フリーで編集やライターをしている者ですが、御社で発行されている書籍に感銘をうけまして……」
と感激を伝え、著者の連絡先をゲット。
フリーランスで「企画・編集・執筆」をしていることを武器に、著者に青色申告の指南を直接してもらい、あわよくば仕事にしてしまえ♪という企みを遂行することにしたのです。
節税だけじゃない、青色申告のメリット
著者の藤原さんに連絡をしたところ、企画を面白がってくださり、書籍化が始動。
今回は、きっちりビギナーへ向けた本づくりを徹底しました。
フリーランス仲間から税務ビギナーの悩みどころも聞き取りをし、オリジナルの「簡単仕訳帳」の本で私がわからなかったことを、どシロートの目線で疑問を投げかけました。
漫画家のコジママユコさんにイラストを担当していただいたお陰で、和みのフリーランスキャラたちの実例を掲載することで、楽しく分かりやすい使える本になりました。
『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』青春出版社
取材の過程で決算書を開陳したら、
「こんな決算書、会計的にありえないです……」
と呆れられましたっけ。
あとがきで、
「中山さんから予想もしなかった奇問・難問が飛んできて…」
と藤原さんがご苦労を吐露されています(本当にお疲れさまでした)。
「シロートがわかるようにしたいんです」
「事例をたくさん入れましょう」
「Excelはシンプルな機能で十分です」
そんなリクエストしながら、本を作る過程で、「貸借対照表の意味」やら「赤字も資産」やらがだんだんわかってきました。
「私がわかったこと」なんて鼻くそくらいのもんですが、それでも「税務」や「会計」といった、これまではるか遠くに霞んでそびえていた山の存在を地続きで感じられるようになったのは大きな収穫でした。
以来、税理士さんの動画をチェックするようになったり、フリーランス仲間で税の話もするようになったり、コロナで大変なときは、公的な給付金や社会保険料の減免などの情報が以前よりもストレスなく、チェックできるようになりました。
以前は、税金などのお金の話というと、
「難しそう……」
「お得っていっても手続きとか面倒くさそう……」
と無意識のうちに心のシャッターを下ろしていたのが、
「え、何なにおしえて~♪」
と窓を開けて身を乗り出して道行く人の話に混じる、という感じでしょうか。
さらには、
「会計と税務は別なんだなぁ……」という発見があったり、
「なんでこんな無駄に思える作業があるのかしらん……」と世の中の仕組みについて新たな疑問がわいてきたりすることも前より増えた気がします。
私にとっての青色申告の一番のメリットは、
「会計」や「税務」などの仕組みに関する知識とアンテナを張る力がこれまでより身についたことかもしれません。
節税しながら、フリーランスとして生き残るためのスキルが身につく
これぞ青色申告の真価なのでは。
「節税できて、本という資産も作れて、仕事にもなり、さらに自己投資もできた」
という一石二鳥ならぬ三鳥、四鳥くらいのお得感。
これは、私が本の仕事をしているからということもありますが、あらゆる小規模フリーランスさんにも当てはまることではないでしょうか。
特に、ブログやYouTubeなどのサイト運営を副業としているフリーランスなら、「やってみた」系の記事やサイトを作るネタにぴったりですね。
結論:ぼちぼちフリーランスでも青色申告はオススメです!
「簡単仕訳帳」に出会って、私の青色申告作業は各段にシンプルで楽になりました。
ラクな帳簿づけですんで、しかも以下のメリットがついてくる。
・節税できる(特別控除65万円ほかメリットいろいろ)
・フリーランスに必要なこと(最低限の会計と税務の知識とスキル)が身につく
これはもう、「青色申告しない手はないでしょ!」というのが私の結論です。
はじめに提示した、ぼちぼち稼ぎのフリーランスが感じる、2つの疑問・懸念への答えは次の通りです。
1 青色申告して得になるのか、という疑問
→ お得です。税金を払っている人は絶対お得(経費にできる金額が白色申告よりダンゼン大きくなりますから税金が返ってきます)。稼ぎがぼちぼちで収入に波がある人もお得(赤字を繰り越せるので儲かった年の税金が抑えられます)。ブレイクしたい野望があるなら絶対お得!
2 難しい&手間がかかって面倒なのでは、という懸念
→ 他のソフトでは一概に言えませんし、あくまでも私感ですが、藤原さん開発の「簡単仕訳帳」ならば、おこづかい帳レベルの帳簿なので、難しくない。「超簡単!」なはずのソフトで迷走した私がそれは保証します。白色申告でも収支は記帳するのだから手間は同じくらいでしょう。
さらに、スロー&マイペースな「ぼちぼちフリーランス」こそ、青色申告はコスパがいい、と個人的には思います。
収支の波が激しいのがぼちぼちフリーランスの特徴ですが、そんな中でも、働きやすい環境を整備したり心身のケアをしたりといった「お金」だけじゃなく「手間」の投資をきちんとするのが、細く長く快適にフリーランスを続けていくための秘訣。
事業を続けていくための一番の投資は「知識」を身につけることです。
青色申告はその絶好のチャンス、だと思うのです。
私のように「会計」や「税務」への知識と興味がないまま来てしまったフリーランスさん、
勉強しながら税金もお得になるので、オススメですよ!
文/中山圭子
書籍の企画・編集・ライティングが本業。新刊は『超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』中野裕哲氏との共著。その他、フリーランスの青色申告お助け本『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』も好評、重版出来。
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