独立・開業時にできる「意外な節税法」って?

会社勤めをしながら副業で収入を得る人が増えてきた昨今、フリーランスで働くことを視野に入れはじめた人もいるでしょう。そんな人が不安に思うのが税金対策や資金のことでは? 特に経費がかかるのが独立開業時です。名刺や挨拶ハガキの作成など少額のものから、店舗や事業所をかまえる人ならテナントに掛かる費用、また広告宣伝のためのHP外注費など、まとまった額の出費が多い。最初に乗り越える壁は、開業資金といってもいいほど。この「開業準備のお金」をどのように経費にしていくべきかを知っている否かで、支払う税金の額は大きく違ってきます。
フリーランス・個人事業主の超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』の著者で、起業コンサルタント®として多くの起業家の相談に乗ってきた、中野裕哲さんにお話を伺いました。
書籍の内容(一部)を特別公開!

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お話してくれた人

中野裕哲さん(起業コンサルタント V-Spiritsグループ主宰)
税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)などの資格を持ち、多角的な視点から個人事業主や法人の悩みに応える。経営にかかわる様々な専門家で結成されたプロ集団である V-Spirits グループ(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人 V-Spirits、V-Spirits 総合研究所株式会社)を主宰。「起業準備から起業後の経営まで窓口一つで支援できるシステム」を構築。年間約 700 件の起業相談を無料で受け、起業家を世に送り出しまくるすごい人。講演・セミナー実績、著書多数。

「開業前に使ったお金」でも経費にできる!

事業を始めるために用意したものってありますよね。たとえば、下記のようなものです。

名刺
・会社や屋号の印鑑
・開店のお知らせのチラシ代
・お店の HP 作成費
・また起業のためのセミナー代
打合せ費用、交通費

こうした開業以前に使ったお金も「開業費」として経費にできます
10 万円未満の少額のものなら、開業した日付の経費にしてしまっても差し支えありません。

イラスト:コジママユコ、『フリーランス・個人事業主の超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』より(以下同)

数年にわたって節税できる「繰延資産」を活用しよう!

小売り店や飲食店など店舗をかまえる事業の場合は、商品の材料費、お店のテナント料(賃料)や水道光熱費などの費用なども開業費になります。金額が大きくなりますから、別途「開業準備に使った費用」として領収書などを整理・集計・保存しておくことが大切です。

開業に使った費用が10 万円未満の少額の場合は、先に述べたように一括で経費にしても OK ですが、本来は「繰延資産」として計上するのが開業費の正しい処理。こうすることで、年をまたいで自由に経費にする(償却する) ことができます

たとえば、利益の少ない開業初年は経費に計上せず、たくさん稼いだ年に適度な金額だけ経費に計上すれば、利益を減らすことができて節税効果が上がります

ただし、以下の 3 点は、また別の名目で管理をするため、一般的に「開業費」には含めません

・テナント等の敷金(あとで返還されるもの)
・10 万円以上の固定資産
・商品の仕入代金 

小規模フリーランスが余分な税金を払わないために…

私は東京・中野の小さな自転車屋さんの長男として生まれました。将来の夢は、父のあとを継ぎ、自転車屋さんになること。小学校から帰ってくると、店の手伝いをしていました。
「おーい! いくぞー!」と父から声が掛かったら、軽トラックの助手席に乗り、自転車を収めに行きます。帰ってきたら店の前を掃除したり、商品を布でピカピカに磨いたり。パンク修理もお手の物です。夜になると、母がそろばん片手になにやら書き込んでいます。「お母さん、なに書いてるの?」と聞くと、税理士さんに送る伝票をつくっているのだと。夜遅くまでこんなことをするなんて、自転車屋さんを経営するのは、とても大変なことなんだと知りました。
時が経ち成長するまでの間に、父は商売をやめて店を畳み、私は税理士を目指していました。そうした小さなお店をサポートしたいと考えたのです。

ここのところ、年々、軽減税率やインボイス制度、電子帳簿保存法など、税金まわりの制度が煩雑で難しくなり、小さなお店のご主人やフリーランスのみなさんは大変になってきていると感じます。
誰も教えてくれなかったからと、余分な税金を払ってしまった人からの相談も多く受けるようになりました。子どもの頃からお金を稼ぐ大変さも身をもって体験してきた私としては、とても心の痛いことです。

商売をやっている以上、決められたルールをきちんと守り、経営していく必要があります。だとしたら、少なくとも余分な税金を払わないようにしていただきたい。シンプルに手間なく処理してもらいたい、そのように考えるのです。

今回、書籍『フリーランス・個人事業主の超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』の企画を進めるうえで、実際に個人事業主、フリーランスのみなさんの意見にも耳を傾ける機会も設けました。
「インボイス制度について…」「電子帳簿保存法って…」など、どんな悩みがあるか、何がわからなくて、知りたいことなのか……、それらを昨今の情勢にからめて聞くこともできました。ご要望を全て反映し、やさしくまとめたのが本書です。
全国の個人事業主、フリーランスのみなさんの一助になれば幸いです。

談話:中野裕哲さん(V-Spiritsグループ主宰)

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内容を確認したい人は、こちらをどうぞ。⇩
『フリーランス・個人事業主の超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』もくじ

文/中山圭子
書籍の企画・編集・ライティングが本業。新刊は『超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』中野裕哲氏との共著。その他、フリーランスの青色申告お助け本『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』も好評、重版出来。

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