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先日、親しい友人と話していたときのこと。
「やらねばならないとわかっていることでも、時間がなくてできない」
と言われ、
「やらなきゃ死んじゃうってことなら絶対やるんじゃない? なら、要は優先順位の問題だよね」的な発言をして、場の空気が悪くなった。
サクッと言えば「それって、ただの言い訳だよね」と相手は受け取ったし、私自身ぶっちゃけそう思っていたから。
「時間(or お金ほか)がなくて●●ができないっていうけど、要は、別のことに使う時間(or お金ほか)を優先してるってことだよね」
ということだ。
「仕事が忙しくてする時間がない」
「運動する機会(できる環境)がなくてできない」
「お金がなくて◯◯できない」
というのは、
「できる環境を作るための知恵を捻出する労力やお金を別のことに優先してるってことだよね」
ということだろう。
でもって、その「優先順位の問題だよね」は、私にもそのまま返ってきた。
実は、私も「やろうと思っていて、できていないこと」がある。
平日の朝7時から始まるテニス(おはようテニス・通称おはテニ)に遅刻せずに参加をすること。
目的は「体力とテニス技術の向上」だ。
「おはテニ」はコロナ禍にはじまった、私が利用している地元テニススクールのコースの一つである。
通常のスクールのレッスン(4回/月)とほぼ同額にもかかわらず、平日の朝は行き放題(皆勤賞なら2月でも20回!)という、なかなかにお得なコースだ。
コーチの進行管理で、ミニラリーから、ストローク、ボレー、サーブまでの練習を参加者同士で行う。レッスンはないが、ボールを打てる時間が長く、終盤の30分はゲーム形式でダブルスをランダムに組んでできる(通常のレッスンでは試合形式でプレーする時間は5分か長くて10分程度)。
途中参加や途中退出もOKで、この自由度がメリットであると同時にデメリットにもなる。
朝7時からのテニスは、仕事(出勤)の前の運動によい一方、朝が弱い人にはハードルが高い。
私は万年遅刻組で、たいてい30分遅れで到着して、ボレー&ストロークの練習から参加している。
実は、体力不足ゆえに意図的に参加時間を短くしていた面もある。
初めのうちは7時から参加していたのだが、そうすると朝テニスでパワーを使い切ってしまい、1日もたない(帰ってきて午前中はベッドで過ごした)。
テニス肘が再発もした。
でも、試合はしたいので最後までいたい。
となると遅れての参加、となるのだけれど、これがちょうどよく、他にも遅れてくるメンバーもいて常態化したという流れだ。
それが、数年にわたって朝テニスをすることで体力も少しはついてきた。
試しに、昨年末あたりから7時から参加してみた。
「けっこういけるかも」という感触。
近年は、区民大会などの実際の試合にも参加しはじめた。
勝つことよりも負けることの方が断然多い。
でも、楽しい。
もっと上手くなって勝ちたい。
上手くなって、上手な人にもテニスに誘ってもらいたい。
そのためには、技術の向上はもちろんだが、体力もつけたい。
※昨年夏の試合では、後半のスタミナ切れで(まぁ、それだけじゃなかろうが)、4−1から逆転負けした。
よし、おはテニ、遅れずに参加しよう。
そうすれば、体力もつくに違いない。
そう今年の目標に掲げたものの、できていない。
朝、どうしても起きられない。
たった30分。
しかし、布団のなかでいろんな言い訳が出てきて、意志を挫く。
「昨日寝るのが遅かったから」
「今日は、◯◯の予定があって体力を温存したい」
「腰(腕)の調子がちょっとおかしいから無理はしないでおこう」
「……雨予報だったような……」
「もうちょっとだけ……」
気がつくと布団の中で言い訳を考えている自分。
それに嫌気がさして、なんとか「行くだけでも意味がある!」っと気合いを振り絞って(今さら?)起きて、なんとか家を出る、あるいは参加も断念して二度寝というときも、ある……
そんな感じで、結局、決意はしたものの遅れずに参加したのは、いまのところ1回だけ。
要は、「布団でぬくぬくする快感」を「体力とテニス技術の向上」より優先しているってことなのか。
「まぁ、週に2回以上はテニスをしているのだから、少しずつ参加する時間を長くしていければいいかな」
そう思っていたら、ある本を読んで、自分を甘やかしていることを痛感。
同時に、
「この方法、使えるかも」
と心動かされた。
それがこちらの本。
億にも届かない私には縁のないタイトルですが、もともとは、ReHacQというお気に入りの動画チャンネル(元日経テレ東大学の高橋弘樹が配信)に著者の田中さんが出演していた回を観て興味をもったのがことのはじまり(大きな組織に勤めていて辞めた人に、安定した地位を捨てて辞めた理由と今後の展望を聞く「なんで辞めたんですか?」というシリーズ。「辞めゴールドマン」の肩書きで登場)。
私には理解できない発想で、でも興味深い発言がいろいろあり、「本も出てるんだ。読んでみよう」となった。
そこには、田中さん自身や周りの「稼ぐ人たち」の時間の使い方を紹介する章に、「習慣化」という方法が書かれていた。
もともと日本人は「目標を立てる」「学ぶ」というアクションは苦手ではないと思っています。ただ「実行する」だけは別で「お金が貯まったらやろう」「時間に余裕ができたらはじめたい」「予定が空いたら行く」という類の話は、たぶんすべて実行されないはず。その都度クリエイティブな言い訳をつけて実行しないことがほとんどでしょう。
『億までの人 億からの人』田中渓 Chapter4
「クリエイティブな言い訳」の部分、身に覚えがありすぎる。
そんな田中さんは、
365日毎朝3時45分に起床して、「25km走る」「60km自転車に乗る」「4000m泳ぐ」というメニューのうちどれかを毎日必ずこなしている、
という。
「今、なんて?」
と聞き返してしまうような、「健康管理」の域を超えたプロアスリート並みの習慣を続けておられる。
著者紹介を確認して、驚愕しつつも納得。
2019年 東京マラソン2時間55分
2018年 ナミブ砂漠250kmマラソン チーム戦ワールドチャンピョン
2024年 トレイルランニング界の最高峰と言われるUltra Trail du Mont Blanc(ヨーロッパアルプスのモンブランを、フランス・イタリア・スイスを跨ぎながら距離171km、累積標高10,000m昇降しながら走る)、ワールドチャンピョンシップ完走
2024年 アイアンマンジャパンみなみ北海道完走(Swim 3.8km, Bike 180km, Run 42.2km)。同大会にてワールドチャンピョンシップ候補にノミネート『億までの人 億からの人』田中渓 著者紹介
目指すフィールドを考えると、なるほど、なメニューだ。
こんな常人とはかけ離れたメニューをこなして「今はどれもまったく苦痛ではない」と可愛くないことを田中さんは言っている(さすが億からの人)。
でも、そんな億からの人も、以前は、
「睡眠不足だから」「雨が降っているから」「二日酔いだから」などと言い訳を考え出しては、何とか意思の力でベッドから這い出ていました。
だったとのこと(結果、意思の力で這い出ているあたりは、やっぱり億からの人)。
どうしたら、このとんでもないルーティンをこなしていけるようになれるのか。
「習慣化」は最強の武器、というのが田中さんの持論。
ポイントは、
「習慣化するまでには、意思の力をできるだけ使わないように、きちんと仕組み化をすること」
まとめるとこんな感じ。
① 考えずに行動できる環境を事前に準備
② 「できる・できない」でなく「やる・やらない」で考える
③ 毎日の達成を記録。コミュニティに属する
田中さんは、毎日寝る前に、翌朝着るウエア一式、飲むサプリなど、すべてを準備する。
「何も考えずに行動に移せるよう、言い訳を作れない環境を前もって整えておく」という。
また、アプリなどで記録を仲間と共有しているそうだ。
なるほど、何も考えず、反射で動けるように。
歯を磨かないと気持ち悪いという領域に。
朝起きたら、走る(私ならおはテニに行く)。
梅干しを見たら唾液が出る。
It’s automatic.って感じ。
「習慣化」を仕組みでつくるというのは、田中さんの成功の軸にもなっているメソッドのようだ。
「年収1億円の人は、何が違うんですか?」
と動画内で聞かれたときの田中さんの答えはこちら。
「当たり前のことを当たり前にやって、しかも圧倒的にやっている人。
まずは圧倒的な量をやる。質は後からついてくる。いきなり上質なことやろうなんて絶対無理がある」
ご自身の本について、こうも言及している。
「目新しいことなんて書いてない。自分も自己啓発書が好きでよく読むからわかるが、みんな同じことが書いてある。基本は、どのジャンルの人の同じ結論に達する。不文律なんだからやれば達成する。でもやらないから達成しない。後回しにせず、今やるか、やらないか、それだけ。時間の使い方、お金の使い方、すべてそう。やっている人は、そうそう、その通りと思い、やってない人ほど、こんな当たり前の方法、どこにでも書いてあるじゃないかと思う(バカにする)。僕もそういう時代があったからよくわかる」
耳が痛い。
でも、確かに、やると決めるのは自分だ。
ただ、本にはなかった「習慣化」のコツもあった。
「ハードルは低め設定。小さい達成感を大事に。徐々に伸ばしていくこと。僕も怠惰なんで、意思の力はできるだけ排除して達成できる仕組みをつくった。そのために最初は圧倒的にハードルを下げた。初めから25km走ってたわけじゃない、5分から。そこから10分、15分と刻んでいった」
なるほど。最初から高い目標を掲げすぎると、「やっぱり無理」とすぐに挫折する。
そうならないために、一歩一歩達成感を味わいながら「習慣化」するというわけだ。
ウルトラマラソンやら砂漠でマラソンする億からの人も、5分からだったのかー、と思うと勇気をもらえた。
オーケー。
前夜のうちに、おはテニで着るウエア・水筒・台所にバナナを準備。
タイマーを6:40にセット。
翌日の手帳の欄に「□ おはテニ」の☑️項目を設定。
これで、週明けのおはテニに臨もう。
*
結果、週末明けの平日朝のおはテニは、7時過ぎにコートに到着。
スタートのミニラリーには間に合わなかったものの、いつもより早いスタートで、ストローク練習に参加できた。
「今日、早かったじゃん」とメンバーからも労いの声がかかる。
大幅マイナス出発の私は、0に近づいただけでも労われるのだ。
コミュニティのありがたさも実感。
よし、タイマー、6時半に繰り上げて、次はスタートに間に合わせよう(単純)。
……と思ったら、飲み会が入ってるじゃないの。
むむぅ。
ちなみに、冒頭の友人は後日さっそくできることを実行して報告してきた。
私もここが正念場かもしれない。
文/中山圭子
書籍の企画・編集・ライティングが主な生業。悩みを解決しながら本が作れる「一石二鳥の企画」が得意。『超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』、『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』などの共著あり。新刊は、お金の知識を教えるプロ・八木陽子先生に聞いた『新NISAにiDeCo…いろいろあるけどお金のプロは結局、これを選んでる』。
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