定年後の働き方は「再雇用」か「年金フリーランス」か──3つのタイプ別に考える

再雇用vs年金フリーランス

定年後も働き続けるなら、「再雇用」と「年金フリーランス」、どちらが自分に向いているのか。制度の違いを比較しながら、3つのタイプ別に整理します。ぼちぼちフリーランス倶楽部・部長のケースも交えながら解説します

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ぼちぼちフリーランス倶楽部の中山圭子です。

私は、今50代。
あと10年以内には年金受給がはじまるのか……
と、はたと気づいたのが先日のこと。

私って、年金、いくらもらえるんだろう?
年金って、確か受給の時期を選べるんだったよね。
税金は、年金にもかかるんだっけ?

で、調べていくうちに思ったのが、
「年金をもらいながらフリーランスで働くって、かなりいい選択肢なんじゃない?」
ということ。
年金フリーランス、いいじゃない!

というわけで、今回は、
年金フリーランスの何がいいのか、
どんな人が向いているのか、
などをお伝えしようと思います。

「年金フリーランス」ってなに?

年金フリーランスとは、「年金を受給しながら、フリーランスとして働く人」のこと。

シニアフリーランス、ワーキングシニア、定年後フリーランス……
似たような言葉はいくつかあります。

年金フリーランス」は、収入源の一つを明確にした呼び方。


年金という安定収入がありつつ、仕事もマイペースで続けるイメージ。
生涯現役で社会にかかわれて、ぼちぼちフリーランスの理想形の「上がり方」なのでは♪
と思っています。

辞書にも検索結果にも出てこない、私が命名した造語です(笑)。

年金フリーランス、注目されています。その理由は…

定年後も働くシニアは年々増えています。
総務省の「令和4年就業構造基本調査」でも、65歳以上の就業者数は右肩上がり。

理由はさまざまで、お金のために働かざるを得ない人もいれば、生きがいや社会とのつながりを求めて働く人もいます。

フリーランスを「若い人の働き方」と思っている人もいるかもしれません。
でも、稼ぐ手段が増えた現代においては、スキルと人脈が蓄積されたシニア層こそ、フリーランスに向いていると私は考えています。

「いつまでも社会とつながっていたい。でも、無理はしたくない」

その両方を叶えるのが、年金フリーランスという生き方。
実際、私の周囲にも、会社員時代のスキルや資格を活かしながら、会社員時代よりも余裕をもって働いている年金フリーランスさんがたくさんいます。

私の年金、いくら? 年金だけで暮らせる?

せっかくなので、私自身のケースを話しておきます。

私の年金加入歴は、こんな感じ。

  • 正社員時代
    →厚生年金に約10年加入
  • 夫の扶養に入っていた時期
    →約5年(第3号被保険者=国民年金に算入)
  • フリーランス独立後
    →国民年金のみ

会社員時代の10年分は、老齢厚生年金として受け取れます。
ただ、10年だと金額はそれほど大きくない。
扶養期間の5年は、国民年金の基礎年金に算入されるので、自分では払っていないけれど受給資格には含まれます。
そして、フリーランス歴が一番長いので、国民年金部分がメインになります。

ねんきんネットで試算してみたところ……
(興味のある人は、試算してみてくださいね!)

ねんきんネット

……おぅ、

ぶっちゃけ、年金だけでゆったり暮らせる金額にはなりそうにない(苦笑)。

つまり、私にとって「年金フリーランス」は今のところ既定路線です。
年金を受け取りながら、フリーランスとして仕事収入で上乗せする。
これが私の現実的な老後プラン。

とはいえ、年金がプラスされる分、これまでよりはラクなるし、新しいことにもトライできる余地は広がります。

会社員再雇用 vs 年金フリーランス──比べてみると

一方、これまで会社員として働いてきた人は、定年後の働き方として、再雇用されるパターンをまず思い浮かべる人も多いと思います。

まず制度の話をざっくり押さえておきましょう。

「在職老齢年金制度」って知ってますか?

会社員として再雇用されると、厚生年金に加入することになります。
すると「在職老齢年金制度」の対象になるんですね。

簡単に言うと、月収(正確には総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の合計が月65万円を超えると、超えた分の半額が年金から差し引かれる制度です。
2026年4月の制度改正で、それまでの51万円から65万円に引き上げられました(この基準額は毎年度、賃金の変動に応じて改定されます)。

「じゃあ自分は関係ある?」と気になりますよね。

実は、65万円の壁を超える人は全体の数%程度の少数派です。
一般的なシニア再雇用の月給は20万〜30万円、厚生年金の平均は月14万〜15万円ほど。
合計しても35万〜45万円程度なので、大半の人は壁を超えません。

壁を超えやすいのは、役員・経営層や年収1,000万円前後の高年収層。
たとえば月給83万円+年金20万円のケースだと、毎月約19万円の年金がカットされる計算になります。そういう人にとっては、フリーランスへの転向は大きな意味を持ちます。

下の比較表を見てください。

 会社員再雇用年金フリーランス
年金の受取額減額リスクあり

収入+年金が月65万円超で支給停止・減(在職老齢年金制度)
満額受け取れる

厚生年金に加入しないため、いくら稼いでも減額なし
収入の構造給与+年金(減額後

給与が高いほど年金が削られ、合計の手取りが圧迫されやすい
年金(満額)+仕事収入

年金が「固定給」代わりになり、収入の不安定リスクを吸収
定年・契約期限再雇用契約に期限あり

多くは65歳まで
以降は契約更新か退職
定年なし

体と仕事がある限り、自分のペースで働き続けられる
働き方の自由度会社のルールに従う

出社時間・業務内容・勤務日数は会社が決める
自分でコントロール

体調・ライフスタイルに合わせて仕事量を調整できる
社会保険厚生年金・健康保険

会社が半額負担。ただし在職老齢年金の対象になる
国民年金・国民健康保険

全額自己負担。ただし年金減額の制度対象外
収入の安定性給与は安定


毎月決まった額が入る安心感
仕事次第で変動

年金が下支えするためゼロにはならない
確定申告基本は会社が対応

年金との合算で確定申告が必要になる場合も
自分で申告が必要

青色申告で節税メリットを最大化できる

結局、何を求めるかで選ぶ道が変わる

「65万円の壁を超えるかどうか」よりも、実は大事な問いがあります。

それは「定年後に自分は何を求めているのか」。

私なりに整理すると、定年後に働く人は大きく3つのタイプに分かれると思っています。

タイプA:収入が必要で、会社員スタイルが安心な人

定年後も一定の収入が必要で、フリーランスという働き方にピンとこない、あるいは不安がある──。そういう人には、再雇用が現実的な選択肢です。

65万円の壁を超えない多数派であれば、年金も給与もほぼ満額受け取れます。
安定感は再雇用の方が上です。

タイプB:収入が必要で、フリーランスに挑戦したい人

収入は必要だけど、定年を機にフリーランスとして試してみたいことがある──。
そういう人には、年金フリーランスにトライする価値があります。

年金という固定収入が下支えになるので、フリーランスの「収入がゼロになるリスク」がぐっと小さくなります。
現役中にはなかなか踏み出せなかったことへの挑戦が、年金があるからこそできるようになる。

ちなみに私自身は、フリーランス歴が長く、今さら会社勤めをしようとは思っていません。
というか、「そもそも60代フリーランスを雇用してくれる会社があるの?」という話でもあります(笑)。

私にとっては「再雇用か年金フリーランスか」という二択ではなく、「年金フリーランスとしてどう準備するか」が現実的な課題です。

タイプC:収入より生きがいと社会とのつながりを求める人

年金や貯蓄で収入はなんとかなりそう。
働く必要には迫られていないけれど、社会とつながっていたい。
好きなことや得意なことを仕事にしてみたい──。
そんな人にとっては、年金フリーランスという生き方はうってつけです。

そうはいっても、会社員一筋だった人は、フリーランスのイメージが湧きにくいかもしれません。

そういう人は、まずは単発の仕事、友人のお手伝いレベルの仕事から試してみることをおすすめします。

いきなり借金をして事業をはじめる必要はありませんし、オススメもしません。
ちいさく始めて、感触を確かめながらでいいんです。

そして、収入を気にしないからこそ存分に楽しめることもあります。

たとえば、講師業や、ブログや動画配信、Kindle出版などのコンテンツ販売。
いずれも、自身のスキルや知識を元手に、0円から始められます。

「少額でも誰かの役にたてるなら」
「伝えたいことを発信する」
「誰かが読んで楽しんでもらえたら嬉しい」

そんな「仕事」というよりも趣味やボランティアの延長線上でお小遣い稼ぎもするくらいの気持ちで、OK。
これぞ、年金フリーランスならではの強みです。

かりに、稼げなくても、好きなことであれば楽しんで続けられるはず。
そこからつながりも生まれ、「コミュニティ」という「社会資本」もえられるでしょう。

このあたりの「年金フリーランスが楽しみながらできる仕事」については、また別の記事で詳しく紹介したいと思っています。

年金フリーランスのメリット4つ

① 年金が減額されない(高年収層は特に大きい)

フリーランスは厚生年金に加入しないので、在職老齢年金制度の対象外。
いくら稼いでも年金は1円も削られません。

高年収の人ほど恩恵が大きいですが、そうでない人にも、たまたま大きな収入があったときでも「減らされる心配がない」という安心感はあります。

② 年金+仕事収入の二重収入

2025年度の老齢基礎年金の満額は月69,308円(国民年金のみ加入の場合)。
これが毎月、仕事をしてもしなくても入ってきます。

フリーランス最大のデメリットといえば「収入の不安定さ」ですよね。でも年金フリーランスは、年金という固定給の上に仕事収入が乗っかる構造になっています。仕事が少ない月でも年金があるから、収入がゼロになるリスクがぐっと小さくなります。

③ 定年がない

会社員再雇用には、多くの場合65歳という期限があります。
でもフリーランスに定年はありません。
体が動いて、仕事がある限り、「細く長く」働き続けられます。
「ぼちぼち稼ぐ」が続けられる、それが年金フリーランスの強みです。

④ 自分のペースで働ける

フリーランスは仕事量を自分でコントロールできます。
体調がいい月は少し頑張る。
疲れたら減らす。
旅行に行きたければ仕事を入れない。
老後の働き方として、これほど柔軟なスタイルはないと思います。

フリーランス歴が長い人の注意点──年金額が少ないへの対策

ここは正直に書きます。

フリーランスが長い人(国民年金のみ加入の期間が長い人)は、受け取れる年金が少なめになります。会社員経験が長い人は老齢厚生年金が上乗せされますが、私みたいに厚生年金加入が10年程度だと、その上乗せ分はそれほど大きくない。

だからこそ、現役のうちから手を打っておくのが大事です。

  • NISA
    運用益が非課税。
    年間最大360万円、生涯で1,800万円まで投資できる。
    長期投資で老後資金を育てるのに最適
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
    掛け金が全額所得控除。
    NISAの枠を使い切ったら次の選択肢として有効

ちなみに、私はNISA優先派です。
NISAをしっかり埋めてから、余力があればiDeCoも、というスタンス。
どちらも「早めに始めるほど有利」なのは間違いありません。
それぞれの詳細は、関連記事もあわせて読んでみてください。

ちなみに、フリーランスの退職金制度として小規模企業共済がよく紹介されますが、私は使っていません。
理由は、インフレに負けてしまうから。
その分をNISAやiDeCoに回したほうが、長期で備える老後資金用なら、リスクを抑えてリターンが期待できると判断しています。

詳しくは、こちらの記事もどうぞ。

小規模企業共済を5年で解約した理由|フリーランスの私がやめた3つの理由
フリーランスの節税制度としてよく紹介される小規模企業共済。私も2020年に加入しましたが、約5年で任意解約しました。この記事では、実際に加入してみて感じたことや、なぜ解約したのかを率直にお話しします。フリーランスにとって本当に得なのか、考える材料になればうれしいです。

まとめ:自分はどのタイプ?

年金フリーランスは、すべての人にとっての正解ではありません。
定年後に何を求めるかによって、向いている道は違います。

収入が必要で会社員スタイルが安心なら、再雇用が現実的な選択肢です。
収入が必要でフリーランスに挑戦したいなら、年金という下支えがある分、今がチャンスかもしれません。
収入より自由や生きがいのある「仕事」にチャレンジしたいなら、年金フリーランスは特に相性がいい。

私自身は、あと10年以内に年金受給がはじまります。
それまでにNISAをしっかり育てて、余力があればiDeCoも仕込んで、年金フリーランスとしてぼちぼち稼ぐ老後を目指そうと思います。

まだ現役のあなたも、定年が近いあなたも、今からできることはあります。
参考にしてくださいね!

文/中山圭子 
書籍の企画・編集・ライティングが主な生業。悩みを解決しながら本が作れる「一石二鳥の企画」が得意。新NISAにiDeCo…いろいろあるけどお金のプロは結局、これを選んでる、『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!、『超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』などで聞き手を担当。

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