一般的になってきた、いわゆる「聞く読書」のオーディオbookサービス。中でも、アマゾンAudibleは、無料キャンペーン期間の延長など読者獲得に向けて注力中。お得なお試し期間を利用して、リアル本の書籍編集者が聴きまくってみました。「聞き読」のメリット&デメリット、聴いたオススメ本、お伝えします。
※2024年2月25日現在の情報です。
*本サイトは、amazonアソシエイトに参加しています。紹介している商品・サービス等の外部リンクにはアフィリエイト広告が含まれる場合があります。
- 「聴く読書」、無料体験は利用するべき!
- 「紙の本好き」な編集者からみた、メリット&デメリット
- 無料体験終了後、月額99円で読む方法も…
- 『イーロン・マスク: テスラ、スペースX、そして創造的未来への探求』アシュリー・バンス
- 『フツーの会社員だった僕が青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』原晋
- 『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹
- 『忘れる読書』落合陽一
- 『新訳 道は開ける』D・カーネギー
- 『超訳 ニーチェの言葉』白鳥春彦
- 『堀江貴文のChat GTP大全』堀江貴文、荒木堅二郎
- 『石井ゆかりの「星栞2024年の星占い」』石井ゆかり
- 『一九八四年〔新訳版〕』ジョージ・オーウェル
- 『正欲』 朝井リョウ
- 『紙の月』角田光代
- 『山女日記』湊かなえ
- 『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ
- 『べロニカは死ぬことにした』パウロ・コエーリョ
- 『可燃物』米澤穂信
- 『ヒポクラテスの誓い』中山七里(シリーズ4冊)
- まとめ
「聴く読書」、無料体験は利用するべき!
ずいぶん昔、作家の村上春樹さんが「オーディオブックをよく聴く」とどこかで書いているのを読んだことがある。
なるほど彼のように小説やエッセイを書き、翻訳もして、さらに趣味でも本を読むという日々を送っていたら、ときどきは目を休める必要があるだろうな、と思った。
「さすがプロはお金をかけるところが違うな」とも。
当時は、オーディオブックは、それほど流通していなかったから、紙の本よりも割高だったと思う。
それが今ではずいぶん事情が変わったものです。
たとえば、私が初めて聴いたのはこちら。
『同志少女よ、敵を撃て』は、
単行本で買うと、2,090円、
Kindle版(電子書籍)は、1,881円。
それが、アマゾンAudibleでは、他の本も聴き放題で月額1,500円。
しかも、初めの30日間は無料お試しができます。
『同志少女よ…』が出版されたとき書店で見かけて気になっていたものの、2,000円を超える値段に躊躇して、結局買わずじまいだった私。
飛びついたのはいうまでもありません。
しかも、アマゾンAudibleでは、しばしばキャンペーンを実施しています。
プライム会員だと、なんと「無料体験3ヶ月」なんてこともよくあります。
さらに、アマゾンは無料で使って解約する人にも、とてもやさしい。
通常、サブスクのサービスは解約するとすぐに使えなくなるところが多いもの。
なので、「できるだけギリギリまで利用して契約期間が終わる直前に解約しよう!」とタイミングを計ります。
……が、たまに解約の時期を読み間違えて、無料期間終了、課金へ……となるうっかりさんも(私です)。
ですが、アマゾンAudibleの場合は、無料体験期間中ならいつ解約しても「残りの時間もお楽しみください」。解約後も契約期間いっぱい使えちゃう(太っ腹!)。
ですから、とりあえずは無料期間だけ利用しようという人は、早い段階で解約の手続きをすませておけば、「その気がないのに課金になっちゃった……」という事態が避けられます。
実は、私はうっかり課金に突入してしまったにも関わらず、なんと無料で4ヶ月ちょい利用できました。
例外的な事象だと思いますが、アマゾンのやさしさに包まれた体験でした。
興味のある人はこちらをどうぞ。⇩
「紙の本好き」な編集者からみた、メリット&デメリット
さて、かれこれン十年、紙の本を編集してきた者として、「聴く読書」はありかなしか?
結論から言うと、聴く読書、私は胸を張って「あり」です。
私にとっての最大のメリットは、ながら読みができることでした。
本は、娯楽であると同時に、情報収集のツール。
薪をしょいながら勉学に勤しんだ二宮金次郎しかり、『龍馬がゆく』が面白すぎて中学の通学路で歩き読みした我が家の長男しかり(同級生女子からの情報)。
ハマったらラストまでぶっとおしで読みたいし、情報は効率よく吸収したいもの。
通学、通勤、移動中、家事をしながら、「ながら読み」ができたら最高ですよね。
私は、洗濯、掃除、食器洗いといった家事をしながらがんがん聴きました。
その他、自分で読みづらいもの、たとえば、とっつきにくかったり難解だったりする文章でも、プロのナレーターが読んでくれて受動的に情報を摂取できる、ということもありました。
聴き放題なら、「買ってみてイマイチだったら…」と逡巡する必要もありません。
ちょっと気になる本も、どんどん試し読みできる。
イマイチだったら、途中でやめたり、気になる見出しに飛ばして聴いたりもOK。
聴きたい本はダウンロードもできますので、ネット回線のないところでも聴くことができます。
また、私の息子(アニメ好き大学生)も無料体験をしましたが、気になっていた小説をお気に入りの声優さんが朗読していてシリーズ全巻読了したそう。
『ノルウェーの森』村上春樹・著は、俳優の妻夫木聡さんが朗読しています。好みにマッチすれば朗読劇を楽しめるといった付加価値もあります。
とはいえ、いいことばかりではありません。
デメリットは、文字で読むよりも時間がかかること。
また、自分のペース(イメージ)で読めないこと。
読書に慣れている人ほど、こうした部分が気になるかもしれません。
速さの調節ができるので、私は、たいてい2倍速以上にして聴いています(それでも読むよりかかります)。
正直にいうと、本当に好きな作家の本は、目で追いながら自分のペースで、自分の中のイメージで読みたい、というのが紙(文字)の本で育った人間の性かもしれません。
逆に言えば、文字を読むのが苦手な人、読書の時間が取れない人など、紙の本を読む習慣や機会がない人にはマッチしたサービスです。
そして、もう一つのデメリットは、新刊はない、または別料金がかかること。
新刊以外でも、比較的新しくて売れているもの、定番本なども別料金がかかる場合もあります。
料金については、時期によってキャンペーンなどで聴き放題や割安価格で聴けることもあります。
オーディオブックが定着してくれば、現在の電子書籍のように新刊の発売に合わせてオーディオ版もほぼ同時に発売という時代もくるでしょうし、本の特性によっては、そういった仕掛けで売るものも近日中に出てくるかもしれません。
それから、人によっては、
「耳からだとまったく楽しめなかった」
「頭に入ってこなかった」
という人も(元同僚の書籍編集者です)。
必ず無料体験をして自分に合うか確認しましょう
私がアマゾンAudibleを無料体験したときのこと、そのときに読んだもののいくつかについては、こちらの記事もどうぞ。⇩
無料体験終了後、月額99円で読む方法も…
無料体験を利用したあとでも、アマゾンAudibleでは、たびたびキャンペーンをやっています。
読書を楽しむ時間がある、長めの休日に合わせることが多いようです。
2023−2024年の年末年始にもキャンペーンがあり、なんと月額99円とのお知らせが!
もちろん、楽しみ尽くしました。
というわけで、そのときに読んだものをご紹介します。
『イーロン・マスク: テスラ、スペースX、そして創造的未来への探求』アシュリー・バンス
時の人、イーロン・マスク。
新刊の自伝も売れているようですね。
こちらは、2015年の出版。
このときすでに「人類の火星移住を実現させる」というイーロンの壮大な野望は着実に階段を昇っていたのね。
「電気自動車とか、ロケットとか、Twitterとか、イーロン・マスクって何の人?」
と彼のことを全く知らなかった私には、10年近く前に出版されたこの本でも驚きとコーフンの内容でした。
南アフリカ出身のイーロンのルーツ、起業家としての彼の思考や行動力、コミュニケーション力など、人物伝としてもビジネス書としても、面白い。
異才の人を作った秘密の一端に触れられます。
『フツーの会社員だった僕が青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』原晋
お正月の楽しみといえば、箱根駅伝。
ただ走るだけなのに、なんであんなにずっと見てしまうんでしょうね。
青学の優勝と、以降の連勝は、駅伝ファンには衝撃のドラマです。
そのドラマの立役者である原監督の本。
論理的なビジネス本であり、古い慣習を破る革新の精神にワクワクさせられる本でした。
『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹
駅伝ではないけれど、こちらも走る人の本。
世界の村上春樹は、世界中で走ってたのね。
トライアスロンも、100km走るウルトラマラソンも走ってる。
そういえば、一緒に青色申告の本を作った藤原さんもウルトラマラソンに出たっていってたなぁ。
禅の本を作った和尚さんも走る人で「禅の坊主とマラソンは相性いいんですよ」なんてこともいってたっけ。
私はというと、コロナ禍で、テニスもプールも遠出もできないとき、息子たちにつられって近所の公園を走ってみたけれど、3回目くらいで股関節のあたりが痛くなって、断念。買ったピンクのシューズが靴箱に眠っている。
この世には、走る人と走らない人がいるのだと思う。
『忘れる読書』落合陽一
多読の人で、なるほど〜な読書へのスタンスが面白かったのだけれど、
落合陽一といえば、「シンギュラリティの人」という認識だったのが、
「えっ! 落合信彦の息子だったの!?」
という事実にびっくりしすぎて、ためになったアレコレが吹っ飛んだ本。
読書法の実用書としても、博覧強記な学者さんの知識の源泉を知るノンフィクションとしても楽しめます。
『新訳 道は開ける』D・カーネギー
カーネギーの『人を動かす』は読んだことがあった。
自己啓発本の王って感じだったけれど、こちらは未読だったので読んでみたら、
道を切り拓いでどんどんいっちゃえ!的な予想と違って、「どうしたら不安を克服できるのか」といういつの時代も変わらぬ、悩み相談に答える本で、しかもいつの時代にも通じるいい回答で。
原題は、『How to Stop Worrying and Start Living』で、なるほど。
ちなみに、こちらの作家デール・カーネギーさんと、カーネギーホールを作った鉄鋼王カーネギーさんは別人です(混同してました)。
『超訳 ニーチェの言葉』白鳥春彦
ニーチェ、教科書で出てきて名前は知っていますが、すいません、読んだことありません。
落合陽一さんは、子どもの頃、お父さん(落合信彦)に「ニーチェを読んでいないやつとは会話はできん」と言われたそうです。
というわけで、オススメでとっつきやすそうなニーチェの本が出てきたので聴いてみました。
いい言葉がたくさんあって、時代を越えて響く言葉ってあるよね、としみじみ。
なのに、落合父さんのエピソードが強烈すぎて、具体的には思い出せない(血肉にはなってる。きっと)。
『堀江貴文のChat GTP大全』堀江貴文、荒木堅二郎
「カルピスは薄めたほうがおいしい」という名言に凝縮された本。
Chat GTPの具体的な使い方というよりは、使う姿勢というかスタンス的な本。
『石井ゆかりの「星栞2024年の星占い」』石井ゆかり
会社勤めをしているときに後輩女子から教えてもらって以来、石井ゆかりさんのサイトを読んで、手帳も購入している。
石井ゆかりさんの星占いを読むと元気が出る。
人生マップをつくるための羅針盤みたいな感じ。
「こんなことが起こりそう。
そうしたら、こんなふうに受け止めて進むといいと思う」
そんなふうに、
来るべきことを受け止める心の準備とか、
そこから広がる可能性を示唆してくれる。
起こる事象に善悪のラベルをつけず、
対応するための心持ちを説くところが、
禅っぽい、と密かに思っている。
石井ゆかりさんご自身の声で聴く星占いで2024年がまた楽しみになったのでした。
『一九八四年〔新訳版〕』ジョージ・オーウェル
オリジナルを知らないことっていっぱいある、と思う今日この頃。
昔のアニメの決め台詞なんかを慣用句で使ってる息子たちを見ていると、元ネタを知らなくても定着していることってあるよね、と物分かりよく思う一方で、それでいいのか?と思う自分もいたりして。
村上春樹の『1Q84』は読んだけど、ジョージ・オーエルの『一九八四年』は読んでいなかったので聴いてみた。
思った以上にスリリングでハードな内容。
この世界を俯瞰してみるもう一つの目が啓きそうな、そんな感じです。
『正欲』 朝井リョウ
『桐島、部活やめるってよ』は、息子と回し読みした。
『何者』は映画を観た(とてもよかった。特にダメな佐藤健がよかった)。
『正欲』は、書店でもよく見かけたし、ネット上でも「見える世界が変わった」的なレビューがあって気になっていたので、すかさず聴いてみた。
うん、知らない世界が確かにあった。
『紙の月』角田光代
角田光代さんは、あるときからバリバリ安定のストーリーテラーになった作家さんだと思う。
ビフォー&アフターの1冊は、直木賞を受賞した『対岸の彼女』かしらん。
『八日目の蝉』は映画もよかった(小池栄子はこのときからすこぶるいい演技をしていた記憶)。
主に女性のひりひりするような崖っぷちぎりぎりな状況をつぶさに容赦無く淡々と(だからこそコワくて切ない)描く作家さんだ。
ジェットコースターな展開は聴く読書にもマッチすると思う。
自分好みの世界観(キャラ感)で読みたい本好きは文字の本で読むんだろうけど。
『山女日記』湊かなえ
ストーリーテラーの女王といえば、湊かなえさん。
『告白』で衝撃のデビュー以降、出る本はほぼベストセラーなのでは。
人間の暗部を描いで「イヤミスの女王」との異名もある湊さんにしては、こちらはなんだかほっこりしそうな本。
そんな期待は、そのままだったり、裏切られたりします。
山好きは倍楽しめるし、山好きじゃなくても倍楽しめます(え?)。
もう一回読んで、金時山にいってこよう。
『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ
ずっと髪を切ってもらっている地元の美容師さん(同年代男性)は、読書はそんなにしないらしい。
そんな彼も、最初の奥さんと別れたあとは本を読んだのだそうな。
何を読んだのか聞いたら、本書の名前を教えてくれた。
お金持ちになるための旅に出る羊飼いの少年の話で、錬金術師や、詐欺師や、商売人や、素敵な少女が出てくる。
その後、美容師の彼は、今の奥さんと出会って男の子が二人生まれた。
夏は茅ヶ崎あたりの定宿で家族で海水浴旅行に行く。
コロナでしばらく行けなかったけれど、昨年は久しぶりに家族で海に行ったそうだ。
今回聴いてみて、なるほど、彼はしかるべきときにしかるべき本を読んだのだな、と思った。
『べロニカは死ぬことにした』パウロ・コエーリョ
なかなか衝撃的なタイトルと目を引くカバーイラストで、まだ新宿ミロードの2.5階に書店があった頃見かけた記憶。
調べたところ、2001年2月の刊行なので、長男を産む前後のことで、たぶん産休中に新宿あたりをふらふらしていて見たのだろうなぁ。
『アルケミスト』と同じ作者で、こちらは現代の女性が主人公。
タイトル通り死ぬことを決意したところから物語ははじまる。
圧倒的な幸福感(今にして思えばだけど)に浸っていたあの頃は手に取らなかった本に、20年後再会して聴きました。
あのころ読んでいたら……、いや、読めなかっただろうな、主人公の気持ちに思い至らなすぎて。
今だって、文字で読んだら読み通せたかわからない気がしている。
『可燃物』米澤穂信
米澤穂信、初の警察ミステリ!
amazon紹介文より
2023年ミステリーランキング3冠達成!
(「このミステリーがすごい!」第1位、「ミステリが読みたい!」第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位)
こんなキャッチフレーズを見たら、聴くでしょう、やっぱり。
母方の祖父母の家(群馬)で幼少期過ごした時期がある身としては、群馬県警が舞台とあって、妙なところで親近感を覚えながら聴いた1冊。
警察小説読みもミステリー好きも満足と思います。
『ヒポクラテスの誓い』中山七里(シリーズ4冊)
娯楽小説としてキャラが立っていてとても楽しめました。
シリーズ3冊聴きました。
最新刊のこちら↓は、Coming soon!だったので図書館で借りました。
まとめ
現在、私は別のオーディオブックサービスを体験中なのでアマゾンAudibleは解約していますが、「聴く読書」という習慣自体は、私には合っているみたい。
月間1,500円で聴き放題ならば、コスパは大変よい。
スマホ一つでどんどん金額を気にせず読めるサービスは、仕事上でも人生においても「コスパのよい自己投資」だと思います。
なので、
・聴きたい本を見つけたとき
・聴く時間があるとき
・キャンペーンで格安で利用できるとき
こんなときに、月単位で活用していくのがよいかしら、と思っています。
聴く読書、アマゾンAudible興味がある人は、まずは無料体験で自分に合うか確認してみてくださいね。
他のオーディオブックサービスの体験記やアマゾンAudibleとの比較の記事も、後日アップしようと思います!
文/中山圭子
書籍の企画・編集・ライティングが主な生業。『超シンプルな節税と申告、教えてもらいました!』、『超シンプルな青色申告、教えてもらいました!』など、フリーランスの実務のお助け本の共著あり。
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